2010.07.09
あなたを守る健康ファイル1
胃がんを防ぐために
●あなたを守る健康ファイル[1] 胃がん検診とその内容
胃がんは、最近減る傾向にありますが、それでも日本人がかかるがんのトップです。
胃がんの原因は、今のところはっきりしていませんが、塩分の過剰摂取や喫煙が大きな要因であるといわれています。また、肉や魚の焦げた部分に発がん物質が含まれており、胃がんの引き金になることがわかっています。
監修:丸山雅一
((財)早期胃癌検診協会理事長)
●胃がんのできやすいところ
胃がんが最もできやすいのは、胃から十二指腸へとつづく幽門付近(幽門前庭部)で約60%です。逆に、一番少ないのは胃の入口の噴門から上方に湾曲した穹窿部で約10%。あとの30%は胃体部に発生しています。
・胃のしくみとがんのできる場所 ●胃がんの危険信号
胃がんでは自覚症状が現れにくく、あったとしても胃腸の病気全般に共通するものなので、症状だけで判断することはできません。しかし、次のような症状があれば、早めに検査を受けましょう。
みぞおちが痛む 吐き気、嘔吐
胃が張る、重苦しい 貧血、顔色が悪い
胸やけ、胃のもたれ、ゲップ 便秘、下痢
下血
食欲不振 疲れやすい
食べ物を飲み込みにくい 体重減少
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●早期胃がんは100%治る
胃壁は胃の内側から、粘膜層、粘膜筋板、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜という6つの層から形成されています。胃がんは粘膜上皮に発生し、しだいに胃壁の深部に進んでいきます。がんが粘膜下層までにとどまるものを早期がん、それよりも深くなったものを進行がんと呼びます。
早期胃がんは転移が少ないので、ほぼ100%治すことができます。一方、漿膜下層や漿膜にまで進んだ進行がんでは、5年生存率は50%前後にまで低下し、再発率が高くなります。その意味で、定期検診による早期発見・早期治療が、胃がんを治す決め手になります。
・胃がんの進み方と5年生存率 胃がんの死亡者数・死亡率の年次推移
胃がん検診の普及によって死亡率は減少傾向にありますが、罹患者数、死亡者数は横ばいの状態にあります。
資料 厚生労働省「人口動態統計」
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関連
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・子宮がんを防ぐために ・がんを防ぐ生活と食事
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胃がんを防ぐために
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胃がん検診とその内容
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胃がんは自覚症状が現れにくいだけに、検診で見つかるケースが少なくありません。早期発見・早期治療の機会としては、老人保健法に基づいて市区町村が40歳以上の住民を対象に行う胃がん検診があります。
[1]X線二重造影法
胃がんの第一次検査です。
造影剤(バリウム)と発泡剤を飲んで、胃粘膜全体を撮影します。この方法は日本で開発された方法で、小さな病変でも発見できます。
検査時間は約10分です。詳しい結果は翌日以降に説明があり、異常があれば内視鏡検査を行います。
[3]胃生検
X線二重造影法や胃内視鏡検査によって病変が発見された場合に、それが良性か悪性かを最終的に判定するために行う検査です。
内視鏡の先端につけた鉗子で胃粘膜の病変の一部をとり、顕微鏡検査を行います。痛みはありません。
検査時間は20〜30分です。後日、結果の説明があります。良性・悪性のどちらにしても、医師の指示に従って、早期に治療を受けることが大切です。
[2]胃内視鏡検査
先端にレンズとライトのついた細い管を飲み込み、胃の中を直接観察する検査で、同時に食道や十二指腸まで見ることができます。粘膜に色素を吹きつけて、粘膜の変化を調べることもできます。必要があれば胃生検を行います。
検査時間は5〜10分です。詳しい結果については約1週間後に説明があります。
検査を受けるときの注意
検査前日の夕食は午後8時までにすませ、それ以降は飲食をしてはいけません。たばこやお酒は胃液を増やして検査の妨げになるので、控えましょう。
当日は、検査前にトイレをすませます。検査中はゲップを出さないようにがまんし、気分が悪い場合や苦しいときは手で合図をします。
X線撮影後は、白いバリウム便が出ます。便秘症の人は下剤をもらうとよいでしょう。また、内視鏡検査や生検のあと1〜2時間は、のどにしびれ感が残るので、食事は控えます。のどのしびれや痛みはしばらくしたら消えるので、心配いりません。
上部消化管X線検査 上部消化管内視鏡検査
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